覚せい剤 (改訂 11/09/23)
[目次] [覚せい剤とは、化学薬品としての性質] [使用方法] [作用と害] [覚せい剤取締法] [第3次覚せい剤乱用期] [最近の覚せい剤乱用の特徴] [急性慢性中毒] [離脱] [害・身体的側面] [乱用、依存傾向] [害・精神的側面・逆耐性現象・フラッシュバック] [覚せい剤精神病の欠陥状態] [害・社会的側面] [乱用の早期発見のてがかり] [関連隠語] [メチルフェニデート(リタリン)乱用について] [エフェドリン、エフェドラ乱用] [覚せい剤依存症の治療] [メスマウス] [プソイドエフェドリンと覚せい剤] [別ページの関連記事]
[覚せい剤とは、化学薬品としての性質]
覚せい剤とは、正確には、覚せい剤取締法第二条で指定された薬物の総称です。英語では、覚せい剤に相当する用語がなく、Stimulants(覚醒系薬剤)には、アンフェタミンのほか、コカイン、リタリン、エフェドリン、カフェインなど中枢神経系刺激薬剤全てを含みます。覚せい剤という用語は、ドイツ語のWeckamin(覚せいアミン)に由来するようです。アンフェタミン (Amphetamine)様物質は、覚せい剤の代表ですが、一般には覚せい剤という用語は、アンフェタミン類と同義語として使用されています。化学品名は、フェニルアミノプロパン(アンフェタミン)、フェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン)です。英語圏では、短く、"Meth" と呼ばれることがあります。「覚醒剤」と「覚せい剤」を区別して、前者にはコカインなど広義の覚醒系薬剤を含め、後者をアンフェタミン系薬剤に限って使用することがあります。
化学構造の類似した多くの化合物が覚醒作用、幻覚作用、麻酔作用を持ち、まとめて、Amphetamines と、複数形で呼ばれます。この中には、アンフェタミンのほか、デキセドリン(Dextroamphetamine)、エフェドリン(Ephedrine)、リタリン(Methylphenidate)、エクスタシー(MDMA, E, バツ、バッテン)などが含まれます。アンフェタミンは1887年にEdelemoにより合成され、メタンフェタミンは1893年に日本の長井長義により合成されました。メタンフェタミンにはアンフェタミンの約10倍の薬理作用があります。日本で乱用されているのは、ほとんどがメタンフェタミンで、ヨーロッパで乱用されてきたのは、アンフェタミンです。
コカイン、マリファナやカフェインと違って、アンフェタミンは、自然界には存在せず、化学的に合成されます。もっとも、アンフェタミンの原料であるエフェドリンは、昔はマオウ(エフェドラ)というハーブから抽出されました。今は化学的に合成されます。アンフェタミンには幾つかの合成法がありますが、エフェドリンから合成する場合が多いようです。
日本の覚せい剤は ほとんどすべて国外で製造され、密輸入されたものです。覚せい剤のストリ−トネイム(売人、常用者などの呼名)は、シャブ、エス、スピード、やせ薬などです。終戦直後には「ヒロポン」と呼ばれました。
覚せい剤は水に溶けやすい白色、無臭の結晶で、なめると若干の苦味があります。静脈注射が従来の摂取方法でしたが、最近は過熱吸引法(吸煙、あぶり)や錠剤、液剤の乱用がはやってきています。注射の暗いイメージがなく、手軽なこと、注射痕が残らないことがその理由です。錠剤や液剤などの内服では、脳内に到達する前に一部は肝臓で代謝されますが、静脈注射では直接血液内に入りますから、危険性はより大きいと言えます。過熱吸煙の危険性はほぼ注射に匹敵するという専門家の指摘があります。
2001年頃から錠剤型麻薬の押収が急増しており、そのほとんどが「エクスタシー」と呼ばれる幻覚作用の強いMDMA(合成麻薬)です。MDMAは、日本の法律上は、覚せい剤ではなく、麻薬と分類されますが、上記のように、化学的には、覚せい剤、アンフェタミン類に含まれる化合物です。作用も、覚せい剤と同様で、末端価格も1錠5000円以下(原価は5円)と比較的安価なことから、繁華街などで10-20歳代の若年層への密売が横行しています。 [TOPへ]
[覚せい剤の使用方法]
(1) 注射器に入れて水に溶かし、静脈注射する(通称、ポンプ)。
(2) アルミホイルの筒に覚せい剤の結晶を置いて、下からライターの火であぶり、煙をストローで吸う(通称、あぶり)。
というのが代表的な使用方法です。� �者が伝統的な使用方法。後者が最近の使用方法です。
(3) 錠剤型のヤーバー、ヤーマと呼ばれる覚せい剤を服用する。
(4) 結晶を刻んですりつぶしてストローで鼻から吸い、鼻粘膜から吸収します(通称、スニッフ、スニッフィング)。
(5) ジュースや飲み物の中に、覚せい剤の結晶を2粒くらい入れて溶かして飲む。
!doctype>